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新型コロナウイルスの自然宿主 Réservoirs de coronavirus émergents
Coronavirus 2019-nCOV ©Zhu N, et al. N Engl J Med. 2020 Jan 24. 2月10日付けのル・モンド紙に載った医学・科学ジャーナリストのマルク・ゴズランの記事は、現在注目を集めている新型コロナウイルスに対する多くの疑問に答えるものです。様々な医学雑誌に発表された最新の研究データを分かり易くまとめ、このウイルスがいかにして私たちに感染し、生活を脅かすようになったのかを理解することができます。感染経路を遡ると、そこには嘗て自然界と人間との間にあった境界線が徐々に失われてきた環境の変化に突き当たります。...
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混迷深めるパリ市長選 Election municipale
Benjamin Griveaux ©AFP フランスでは1ヶ月後に地方選挙があります。この選挙の注目は何と言ってもパリ。220万人が住む首都パリです。与党のLEM(マクロン大統領が作った党)にとっては初めての地方選、大統領の威信にかけてパリを制覇したいところです。ところが今朝、与党から出馬予定だった市長候補グリヴォー(Griveaux)が選挙戦を降りると発表したので、パリは地震が起きたような大騒ぎとなりました。 パリ市長選はちょっと仕組みが複雑です。というのもパリの町は17選挙区に分かれていて、比例代表制。各党のリストの上方に位置すれば、それだけ当選の可能性が高くなります。それぞれが各区で戦い、住民は自分の地区の議員を選びます。例えば、現市長のイダルゴ(Hidalgo)は...
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燻製ニシンのマリネ harengs fumés marinés
質実剛健な店の前菜によく顔を出しているのがニシンの燻製のマリネです。5月から6月にかけて採れるバルティック海の新ニシンは最高に美味ですが、ベルギーまででストップ、残念ながらフランスの魚屋さんまでは届きません。スェーデンでは缶詰にして発酵させ、世界一臭い、でも病み付きになるシュールストレミング( surströmming )を作ります。オランダでは採りたてニシンを塩水の樽に入れ、一塩効いた生のニシン( Hollandse nieuwe) をサンドイッチにしたりして食します。 でもフランスの燻製ニシ...
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フランスの感染状況 du stade 2 au stade 3
イタリアに続き、フランスでも1週間前から感染が拡大し始めました。1月に中国関係者6人の感染が見つかった後は、散発的な感染者が出たものの、そのまま収まるかに見えました。ところが、2月26日に新たな感染者が出始めた頃からその数はうなぎ上り。昨日の時点で国内の感染者数は285となっています。日本でじわじわと感染者数が増えているのとは対照的です。ヨーロッパでは、握手や軽いキッス(bise)は昔からの習慣で、礼儀でもあります。一方、日本では挨拶は頭を下げるのみ、握手をすることも滅多にありません。スキンシップのない日本の伝統が、爆発的感染拡大を抑えているのかもしれません。...
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パリの新型肺炎事情 1784 cas confirmés en France
ヨーロッパ各国で感染者数が急激に増大しています。最初に増え始めたのがイタリアで2月21日のことでした。その5日後には、フランスで感染者が増え始めました。イタリアは感染者が出た地域の隔離政策をすぐに取り、昨日からは全土に及んでいます。フランスは集団感染の起きた地域に限り、学校などの閉鎖を実施し、大きな集会やイベントを中止しましたが、一般市民の生活は以前と変わっていません。マスクをしている人はいないし、カフェにはいつものように人が集まっています。感染者数が1000人を超えたのがイタリアは8日目、フランスは11日目です。フランスの方が増え方が若干少なく見えますが、イタリアの方がテストを積極的にしている所為ではないかと見られており、実際のところ、同じ状況なのかもしれません。...
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パリで集会禁止措置発動 l'interdiction des rassemblements
100人以上の集会禁止という措置を受けて、パリとその近郊にある美術館やモニュメントが急遽閉館となりました。エッフェル塔、ルーヴル美術館、ヴェルサイユ宮殿、ディズニーランド、国立図書館など主要な機関のすべて閉まります。またコンサートや劇場も同様です。それに加え、旅行者減少を見込んで、鉄道の20%の運行減が発表されました。切符の払い戻しは無条件で行えることになっていますが、さて、どうなることでしょうか。 明日は「気候のための行進 *Marche pour le climat」が行われる予定でしたが、...
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ウイルスと大統領のテレビ演説 l'allocution du président
©AFP 昨日、ブリュッセルに住んでいる息子から「家で大人しくしているように」と電話がかかって来ました。ベルギーは来週の月曜日からすべての学校、レストラン、カフェなどが閉まり、息子の働いているヨーロッパ委員会もテレワークに切り替えたそうです。 明日は小さな美術館に行くつもりにしていたのですが、ウイルスが蔓延してきたので、臨時閉館になるかもしれません。数字的には、まだイタリアには程遠いフランスですが、実際にはかなり近い状態だと思われます。 それと言うのも、フランスはイタリアに比べて検査数が少ないと言われているからです。確かにフランスではなかなかテストはしないようです。昨日聞いたのですが、40度の高熱を出した知り合いは、新型肺炎を思わせる症状があるにもかかわらず、ウイルス検査はなく、自宅で寝込んでいます。彼は某航空会社の乗務員ですが、最近感染者を出したカリブ海方面に旅行に行った為、周りの人はウイルスに感染したに違いないと思っているのですが。...
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遂に警戒レベル3 au "stade 3"
Cafés à Place de la Contrescarpe ©Pascale Robert-Diard / Le Monde 遂にフランスの警戒レベルが3になりました。あと数時間でカフェもレストランも休業に入ります。国民生活にとって必須ではないすべての公共の場が閉まるのです。レストラン、バー、ディスコテーク、映画館、ブティックなどを指します。例外は薬局、食料品店、銀行、タバコ屋、ガソリン・スタンドで、先ほどの首相自らの記者会見で発表されました。 現時点で、フランスの感染者は4500人、死...
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ヨーロッパ経済圏の封鎖 Confinement total
明日17日の12時から欧州連合とシェンゲン(ヨーロッパ経済圏)の国境が閉まります。3月31日までヨーロッパに入ることはできなくなります。エール・フランスは23日からの全便のうちの90%を減便することを発表しました。 昨日からフランス全土が封鎖されるというニュースが流れていましたが、本日のマクロン大統領のテレビ演説により、それが現実となりました。明日から特別の理由がない限り、自宅を出ることができなくなります。食料品や薬を買いに行く、あるいはテレワークが無理な仕事の為の移動は認められるようですが、それ以外の外出は禁止となります。また、規則を破った場合は刑罰が科されるそうです。イタリアの場合は200ユーロの罰金ですが。...
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移動免除証明書 Attestation de déplacement dérogatoire
3月16日の時点での感染者数 フランスでは今日の12時から外出禁止となります。次の項目に限って自宅から出ることが許されます。 テレワークが不可能な場合の自宅から職場までの移動(証明書が必要) 営業が認可されている店での最低限生活に必要な買い物の為の移動 健康上の理由の為の移動 介護または世話を必要とする家族の為の移動 個人の運動の為の自宅付近での短い移動、ペットの運動も含む、但し集合スポーツを除外 となっています。また自宅を出る際は「移動免除証明書 attestation de d éplacement...
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隔離2日目のパリ 2ème jour de confinement
devant un supermarché 昨日の正午からフランス全土で隔離が始まりました。我が家がある小さな通りは普段、路上駐車の車が隙間なく停まっていますが、今日はガラガラです。田舎がある人は、一昨日大急ぎで荷物を積んで車で出発してしまいました。バスはまだ通っていますが、自家用車は姿を消し、パリの街はいつになく静かです。 遂にパリもゴーストタウン化したと思いきや、スーパーの前には人が並び、店内には一時消えていたトイレット・ペーパーやパスタが又揃っていました。ジョギングをする人も増えたようです...
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隔離生活3日目 3ème jour de confinement
18日の時点で世界中のウイルス感染者数が20万を越え、8000人以上が死亡しています。ヨーロッパの感染者数はうなぎ上り、死亡者数は3422人(統計AFP)でアジアのそれを越しました。感染者数が中国を上回るのは時間の問題です。 個人主義のフランス人は従順ではないと見られていますが、今回だけは別、「非常事態宣言」に続く特措法も議会を通りました。厳しい制限の中での生活を素直に受け入れています。ヨーロッパの国境が閉まったことで、その他の国からの入国はできなくなり、海外にいるフランス人の帰国ラッシュが続いています。日本はフランスからの入国は禁止にしてはいませんが、これまで3ヶ月以内の滞在に不要だったヴィザの取得が義務となりました。そして3月21日以降、フランスから日本に着くと14日間の隔離生活が待っています。自宅がある人は良いのですが、ない人はホテルでの軟禁生活をしなければなりません。受け入れてくれるホテルを探すのも難しそうです。ということで、事実上、パリと東京の行き来は当分の間、できなくなるということですね。...
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ドイツの死亡者数が少ないのは何故か Mystère du taux de mortalité
© AFP / THOMAS KIENZLE 19日15時の時点でフランスの感染者数は10995人となり、死亡者は372人です。一方、ドイツは感染者数15320人に対して死亡者は44人、この違いはどこから来るのでしょうか?ドイツの医療設備はヨーロッパで随一と言われています。ドイツの集中治療可能なベッド数が2万5000なのに対し、フランスは7000、イタリアに至っては5000と言われています。フランスの医療システムは世界で最も充実していると言われていた時期もあったのですが、今では予算が減り、スタッフ不足からベッド数も減っています。全国の公立病院では、1年近く前から「待遇改善」「予算増大」を求めて、断続的なストライキが続いていました。...
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パリの朝市も隔離? Encore faire son marché ?
パリの朝市は今のところ、通常通り開かれています。しかし、店舗のように入場制限などをすることは無理な為、客同士の接近をコントロールすることはできません。隔離政策後もいつものように買い物客が集まり、のんびりとした空気が流れています。規則が厳しくなる中、この朝市が問題になっています。明日、新しい対策が発表される予定ですが、夜の外出制限や隔離期間の延長が発表されると見られていて、朝市の閉鎖もあり得ます。昨夜すでに、隔離規則を破った場合の罰則が変更になりました。これまで初回135ユーロだったのが、15日以内に2回違反すると1500ユーロ、30日以内に4回の違反では3700ユーロの罰金に加え、6ヶ月以内の禁固刑が適用されます。...
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手の消毒用ジェル Gel hydroalcoolique
市販の消毒用ジェルが買えなくなって久しいですが、ウイルスの感染拡大は止まりません。そこで、手に入る材料でホームメイド消毒ジェルを作ってみました。作り方はWHO(世界保健機構)が掲載したガイドを参考にしました。これはエタノール96%を基本として作りますが、これも今では手に入らない為、比較的簡単に見つかる70度のアルコールを使いました。2週間前までは薬局で90度のアルコールが普通に買えたのですが。 このアルコール200mlに過酸化水素10mlとグリセリン3,5mlを加えて、軽く混ぜます。それを清潔な容器に入れます。これを入り口に置いておけば、一安心。外から帰った時にドアノブや鍵、携帯電話を消毒し、手をていねいに石鹸で洗います。テレビのニュースでは、商品のパッケージもすべて消毒し、すぐに処分したほうが良いと言っていますが、そこまでは難しいですね。...
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隔離10日目 le 10ème jour de confinement
自宅隔離が始まって早10日というかまだ10日。3月末までの隔離対策を今後どうするかに注目が集まっていますが、未だ、この件に関して政府は沈黙を守っています。昨夜、大統領は「医療関係者の努力に感謝し、待遇改善に全力を尽くす」と演説しましたが、これまで耳障りの良い言葉を並べるだけで具体的なことには触れない大統領に厳しい声が上がっています。医療現場は今もマスクが足りず、ベッドや人工呼吸器は言うに及びません。 このような状況では、少なくとも4月末までは外出禁止だと皆覚悟しています。ネット上では、様々な工夫が飛び交っていますが、私は退屈すると、お菓子を作ります。作っている時は暫し不満を忘れます。そして、思い通りのお菓子が出来上がると、思わずニッコリ。...
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住民のパリ脱出 un million de Franciliens partis
Place Gustave Toudouze, 75009 Paris / © Harald GOTTSCHALK 携帯電話会社ORANGEのジオロケーション・データによると、3月13〜20日の間にパリを離れた住民は郊外を含めて百万人以上に上り、これは人口の17%にあたります。17日からの隔離期間を少しでも快適に過ごすそうと田舎へ向かった住民が多いとは言われていましたが、それが確認されました。パリから800キロも離れた田舎に住んでいる知人のひとりは、パリに住んでいる娘がテレワークになったので、2日かけて娘を迎えに行ったと言っていました。既に外出禁止になっていた為、鉄道も利用できず、警察のコントロールを避けようと、行きも帰りも車で夜に移動したそうです。...
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エッフェル塔の光 Tour Eiffel dit "merci"
© Pierre René-Worms / RFI 新型コロナと戦っている医療従事者に感謝の意を表そうと始まった「窓からの拍手」は今では日常の一部となりました。昨夜からはエッフェル塔もこの運動に加わり、夜の20時から23時まで「MERCI」の文字と共に新たな光を灯しています。 昨日「3月末までだった隔離」の4月15日までの延長が発表されました。「少なくとも4月15日まで jusqu'au 15 avril au moins」という表現はまだまだこの隔離が続くとの含みがあります。大統領の科学顧問たちはすでに「6週間の隔離が適切」との意見書を出しているので、4月末までは我慢の子になりそうです。...
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隔離15日目 Le 15ème jour de confinement
International Opera Choir 今日で隔離生活15日、最初の2週間が過ぎました。生身の人間に会えない生活に果たして耐えられるものか?と心配しましたが、インターネット発達のおかげでスマホ画面を介してお茶を飲みながら友人と会話したりして、それなりに楽しく暮らしています。孫の世話ができなくなったのは嬉しいようで寂しくもあり、複雑な心境ですが。その為、自然とネットにアクセスする時間が増えました。先日、デジタル担当大臣がインタヴューで「ポルノ・サイトへのアクセスが50%増えましたね」と答えていたのには笑いました。...
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不思議な国ニッポン Japon fête les cerisiers en fleur
今日も朝から、テレビやラジオは新型コロナ感染拡大報道一色です。その中で異色なのは「日本のお花見」ルポルタージュ。フランスは元より、アメリカやイギリスの現状を見せ、グテーレス国連事務総長の「第2次大戦以来の最悪な危機)という言葉を紹介して、いかに世界中が深刻な事態になっているかを報道する一方で、「新型コロナにもかかわらず、日本人はお花見を楽しんでいます」とノーテンキな人々をニュース・チャンネル Franceindo が映していました。日本人に対する批判的な言葉は聞こえてきませんが、このルポの真意は...
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マスク不足解決はいつ? Le do-it-yourself s'impose
フランスでは、医療現場でのマスク不足が未だ解決されません。やっと中国で生産されたマスクが入荷されるようになってきましたが、一般市民の手に届くのはまだ先の話。元々、マスク文化のないフランスでは「病気でない人はマスクをするとかえって感染する可能性が高まる」という言葉を聞かされていました。しかし、近頃はマスクに対する認識が変わり、医療関係者以外でもマスクをする人が増えてきました。 とは言え、マスクを手に入れるのは至難の技。それで皆工夫をして様々なマスクをしています。最も簡単なのは、襟巻きで顔の半分まで覆うこと。工事用の粉塵防止マスクもよく見かけます。FFP2(日本ではN95と呼ばれるタイプ)やサージカル・マスクも見かけますが、恐らくこれらは期限切れだろうと推察されます。映画で見るような防毒マスクをして買い物をしている人を見た時はびっくりしました。...
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希望と連帯 Donner de l'espoir
© FABRICE COFFRINI / AFP 4月1日、スイスとイタリア国境にあるマッターホルンに大きなハートが映し出されました。隔離生活を余儀なくされている人たちへのメッセージ「希望 Hope」「連帯 Solidarité」の言葉と共に毎晩ライトアップされます。エッフェル塔など世界中でこの新型ウイルスと戦う人たちへの感謝を込めた運動が始まっていますが、3月30日からはギザの大ピラミッドも参加、全世界へ向けて「ステイ・ホーム」を呼びかけています。 先の見えない隔離生活が続くと、ストレスも溜ま...
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歯医者さんも閉まった! Le cabinet dentaire fermé
© Henri Garat / Ville de Paris 歯のトラブルは時を問いません。隔離時にも起きます。数日前、僅かの楽しみの一つである食事中にそれは起きました。あら、何か硬いものが、、、と思ったら、それは金属の塊でした。そうです、奥歯を覆っていたインレーが取れた瞬間でした。翌日、いつもの歯医者さんに電話したら、留守電が回っていて、メールを送るように言っています。仕方なく、症状を書いてメールしたら、その日のうちに返事が来ました。曰く、歯科緊急コールセンターがあるので、その番号(全国共通:09...
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うららかな春の日曜日 Un dimanche de printemps
Place Saint Médard à Paris (05 avril vers 13h) ネット・メディアBRUT の発案で実現した24人の音楽家によるヴァーチャル・コンサートがアップされました。中心となったのはフランス人バイオリン奏者ルノー・カピュソンで、ヨーヨーマやレベック姉妹など、国際的に活躍している奏者たちがサン・サーンスの「動物の謝肉祭の終曲 Final du Carnaval des animaux 」を演奏しています。世界中で新型コロナウイルスと闘っている人々への応援と感謝の気持ちが込められています。...
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老人ホームと新型コロナ Coronavirus en EHPAD
© Maison d'accueil Saint-Julien-de-Vouvantes 4月2日から初めて老人ホームEHPADでの死亡者数が発表されるようになりました。高齢者の死亡率が高いことは新型コロナ感染拡大が始まった当初から指摘されていたことですが、政府が調査を開始したのは3月28日のことです。 一般の隔離が開始される3月17日前に、老人ホームは一足先に面会自粛となり、1週間前からはホーム内の個室で住人たちは隔離状態となっていました。ホームで感染の疑いが出た場合、最初のふたりを検査し、陽性だった場合はホーム全体で感染していると見なされ、他の住人の検査は行われませんでした。全員がホームで隔離され、入院することもありませんでした。こうして、ホームでの死亡者数が激増していきました。...