熱波と干ばつ La canicule et la sécheresse
ヨーロッパは嘗てない熱波と干ばつに見舞われています。今年の7月の雨量はフランス気象庁が統計を取り始めた1958年以来の最も少ない記録となりました。わずか9,7ミリで、前年の90,8ミリと比べ、10分の1に近い雨量です。これまでの記録2020年の16ミリを大きく更新しました。一般の住宅はクーラー設備がありませんが、冷房のある店舗は増えています。電力消費量の増加に備えて、パリ市は「冷房装置使用中はドアを閉める」旨の通達を出しましたが、守らない店も多い為、昨日から取り締まりを始めたようです。
一年中、緑あふれるヴァンセンヌの森も干ばつの影響を受けています。日当たりの良い草地は一面乾涸び、わずかにアザミ、タンポポ、クローバーが顔を出しています。この季節にはどこでも見かけるブラックベリーの実は熟す前にドライフルーツ化しつつあります。今や、西ヨーロッパの土壌は砂漠のような状態で、場所によっては数メートルの深さまで乾いている為、少々雨が降っても表面を湿らすだけ。現時点で、フランス各地では8ヶ所の重大な火事が起こっていますが、本格的な雨が降る秋が来るまで、この状況が続くという悲観的な見方もあります。
パリでは、まだ節水を呼びかける程度ですが、断水が始まっている地方もあります。農業従事者にとっては死活問題。付け焼き刃な対策ではなく、長期的持続的な対策に直ぐに取り組むべき時に来ています。