ウクライナ戦争とパリ L'Ukraine et Paris
ロシアがウクライナ侵攻を開始して20日、戦火は増すばかりです。始まった当初、欧州連合はロシア非難で強い連帯を示しましたが、戦争が長引くに連れ、連帯感が薄れていくのが感じられます。毎週土曜日にレピュブリック広場で開かれるウクライナ支援集会も3日前は1000人くらいしか集まらず、オーガナイザーの「フランスの皆さん、支援を」という声が虚しく流れていました。ベルリンでの大規模集会と比べると雲泥の差です。「2020年までフランスはロシアに武器を売っていた」「トータル・エネルギー(フランスの最大エネルギー会社)がロシアから撤退しないのは犯罪」「ソシエテ・ジェネラル銀行(仏主要銀行)はロスバンク(露主要銀行)から資本を引き上げない」というニュースは仏政府の曖昧な態度を語る一部です。アソシエーション・レベルでは救援物資や難民受け入れなどの運動が広がっていますが、どうも国民レベルの関心は別のところにあるような気がしてなりません。ひとつには4月10日の大統領選挙があるようです。目下、現大統領が30%以上の支持を得て、他候補を大きく引き離しています。決選投票は2週間後の4月24日。現在のところ、5年前と同じく、世論調査で2位につけているマリーヌ・ル・ペン(極右)との一騎打ちになりそうです。2週間前に比べて、マクロン大統領の支持率が3%上がったのは戦争と引き離しては考えられません。
ウクライナ侵攻を非難することでは一致している各大統領候補ですが、極右も極左もプーチン大統領への寛容な態度を崩さないのはどうしてでしょう。昨日、ロシアの国営テレビ(Pervy Kanal)に局員のマリナ・オヴシアニコヴァ(Marina Ovsyannikova)が放送中に戦争反対のプラカードを掲げました。数秒間のことでしたが、彼女のメッセージは多くのロシア人に届いたはずです。すぐに彼女は警察に逮捕されましたが、マリナのビデオ・メッセージ(The Guardianの記事参照)は人権団体(OVD-Info)によって公開されました。