ウクライナ危機 Crise Ukrainienne
とうとうロシアがウクライナ爆撃を始めました。今年に入ってからアメリカが繰り返し、戦争勃発の可能性を示唆していましたが、イギリスを例外として、ヨーロッパ諸国は「そう言う事態にはない」との姿勢を示していました。2月8日にはマクロン大統領がモスクワでプーチンと会見、外交努力で紛争解決を確認。この時点では「ロシアがウクライナのNATO加入に難色を示している」のが問題であるとの認識で、マクロンは交渉がうまくいっているとの自信(真偽は謎ですが)を示し、20日にもプーチン大統領やバイデン大統領と個別に電話で話し、二人の対話機会をアレンジしたと発表しました。しかし、その数時間後にはプーチンがそれを時期尚早と否定し、その後の動きはニュースで流れている通りです。今になって、プーチンがウクライナ侵攻を決めたのは去年の10月で、今回の攻撃は計画をそのまま実行した結果であるとの見方が主流となり、外交的解決は最初から存在しなかった、、、
欧州連合は、ウクライナ東部(親ロシア独立派の多い地域)をロシアが一方的に独立宣言した時点で、経済制裁を発表しましたが、限定的な為、効果のほどは懐疑的です。欧州連合は「ロシアを経済的に孤立させる」とし、NATOは加入国30カ国に緊急会議を招集しました。いずれにしろ、既にエネルギー問題が深刻化している欧州にとって経済制裁はもろ刃の剣です。天然ガスの40%をロシアに頼っているヨーロッパは、アメリカの反対にも関わらず、バルト海海底を経由するロシアとドイツを結ぶパイプライン(ノルド・ストリーム2 Nord Stream 2)が完成し、その使用許可を待っている状態でした。原発を放棄したドイツは天然ガスに頼っていて、その55%がロシアからです。今回の事態を受け、ドイツのショルツ宰相はパイプラインの凍結を決断しました。非常に難しい判断だったに違いありません。