新型コロナウイルスの自然宿主 Réservoirs de coronavirus émergents
2月10日付けのル・モンド紙に載った医学・科学ジャーナリストのマルク・ゴズランの記事は、現在注目を集めている新型コロナウイルスに対する多くの疑問に答えるものです。様々な医学雑誌に発表された最新の研究データを分かり易くまとめ、このウイルスがいかにして私たちに感染し、生活を脅かすようになったのかを理解することができます。感染経路を遡ると、そこには嘗て自然界と人間との間にあった境界線が徐々に失われてきた環境の変化に突き当たります。
森の伐採、人口増加、夜も輝くネオンは、夜行性のコウモリの活動範囲にも変化をもたらしました。コウモリは虫を食べますが、農薬を使用する耕作地が増えるにしたがい、ネオンに惹かれて虫の集まる都会に餌を求めるようになります。自然界での生活がし難くなり、住民の生活圏に近づくようになったのです。一方、コウモリは様々なウイルスの自然宿主です。他の哺乳動物と異なり、ウイルスとの共存が可能なのです。普段はコウモリの腸に棲んでいるウイルスが糞と共に排出され、それに感染した他の動物が病気になり、そのウイルスが変異し、そして人間の細胞に辿り着く、、、
2月7日に中国が発表した研究によると、今回の中間宿主はセンザンコウの可能性が高いそうですが、2002年に出現したSARSの中間宿主はジャコウネコと言われています。市場でこれらの生きた野生動物が売り買いされていることにビックリですが、ヴェトナムなどではコウモリの糞も肥料として利用されていると聞き、ますますビックリしました。