今年のメーデー le 1er mai 2019
今年のメーデーは去年に続き、デモ隊と治安部隊の衝突で終わりました。去年*はその影で、大統領の警備担当者による暴力「ベナラ事件*」が起こり、各方面に多大な影響を及ぼし続けていますが、今年は、治安を総括する内務長官の言動が非難の的になっています。
私は5月1日にベルギーから戻ってきました。当然、デモ隊の通り道と主要駅は朝から閉鎖され、多くのバスも正常運転されていない状況だったので、遠回りをしてやっと自宅のある道に辿り着いたら、そこが封鎖されていたので驚きました。デモ隊の通り道の横だった為、うちの70メートル足らずの何もない小さな通りが重装備の機動隊とその車によって塞がれていて、誰も出入りできなくなっていたのです。何とか自宅に戻り、伝統的な組合員のデモ行進だなぁと窓から眺めていたら、右側へ流れていた動きがいつの間にか左向きに変わっているではありませんか。気がつくと同時に異様なガスの匂いがしてきたので、慌てて窓を閉めました。催涙弾が使われたようでした。ライヴのニュースで確認すると、その頃、直線距離にして500メートル離れたピティエ・サルペトリエール病院(La Pitié-Salpêtrière)付近で催涙弾が多く使われ、放水車まで使われていたのです。平和的なデモ行進を見ていた私には理解に苦しむ状況です。
今、問題となっている内務長官の発言の元となった事件は正にこの時に起こっていたのでした。催涙弾のガスから逃れる為に約30人のデモ参加者が病院の敷地に入り、緊急治療室がある建物に避難しようとしたことに対して、内務長官は「彼らは病院を襲った Ils ont attaqué un hôpital」とツィートし、インタヴューでもこれを繰り返しました。報道も「襲撃、暴行、破壊行為」があったとしてそれに追随しましたが、実際は何も行われていなかったのです。
黄色ベスト運動が11月に起こって以来、デモ隊と警察の衝突が顕著ですが、その度に内務長官の責任が取り沙汰されてきました。先程、内務長官は「襲撃」という表現をすべきではなかったと認めましたが、警察のトップであり、フェイクニュースとも戦う内務長官自らが「嘘」とも取れる発言をしたことは大きな汚点と言えそうです。