黄色ベスト運動 Gilets jaunes
燃料税値上げ反対の署名運動をきっかけに始まった「黄色ベスト Gilets jaunes」と呼ばれる人たちの運動が新しい展開を迎えています。この運動の象徴となっているベストは交通安全のベストです。このベストを着て、値上げ反対の意思表示をしようとソーシャル・ネットワーク上で呼びかけたところ、あっという間にこの運動がフランス全土に広がり、隣のベルギーでも2週間前から黄色ベストが現われました。これまでの社会運動と違い、政治的な背景を持たず組織化もされていない人たちが自然発生的に黄色ベストを着て、道路封鎖を始めたわけです。
大都会に住む人々にとって車は必須ではありませんが、その他のフランス人は車がないと生活できないのが現実です。ガソリン代のうちの60%は燃料にかかる税金。そして、税金を含んだガソリン代全体には20%の付加価値税(消費税と同等)がかかっています。原油が上がれば、廻り廻って国の収入も増えるというわけです。来年1月には又ディーゼルが7セント、ガソリンが4セント上がります。マクロン政権になって以来、庶民は生活が苦しくなったと感じていましたが、とうとう我慢が限界を超えました。
組織がなく、リーダーもいない彼らは11月17日に初めて実力行使に出ました。「燃料費値上げ反対」のスローガンに「マクロン辞任」が加わり、全国で28万人以上が参加。盛り上がりを見せましたが、政府は無言のままでした。先週土曜のデモは過激化し、3回目にあたる昨日のデモに至っては車が燃やされ、かなりの店舗が壊されるという見るも無残な状況となりました。凱旋門まで荒らされ、パリだけでも逮捕者数は378人に上りました。世論調査では80%以上がこの黄色ベストを支持していますが、政府は未だ静観状態。いったいこの運動はどこへ向かうのでしょうか。