フランス環境大臣の辞任 Démission de Nicolas Hulot
今週火曜日、環境大臣ニコラ・ユロ (Nicolas Hulot) がラジオのインタビューで辞任を表明しました。現政府で最も人気の高い大臣の辞任とあって、トップニュース扱いです。彼は政治の世界に入る前、約24年間続いた大自然をテーマとした人気番組「ウシュアイア Ushuaïa 」のプロデューサー兼レポーターで、前政権では環境問題の大統領顧問でした。新政権の元でどこまでエコロジーに貢献できるか疑問視されていましたが、やはりロビイストに屈した結果となり「これ以上、自分に嘘はつけない」と匙を投げてしまいました。
大臣になって以来、理想と現実の狭間でずっと悩んでいた彼ですが、決め手となったのは前日の狩猟に関するエリゼ宮での会合でした。ここで、マクロン大統領は狩猟協会会長を前に、年々厳しくなっていた狩猟規制の緩和を約束したのです。曰く、狩猟権料を半額にする、狩猟期間を拡大する、大統領の狩猟を復活する、、、他のヨーロッパ諸国では14種しか狩猟が認められていない鳥類も、フランスでは64種に上り、その中には20種の絶滅危機にある鳥類も含まれるのです。明らかにロビイスト主導としか思えない会合に出席させられた環境大臣の無念な気持ちは痛いように分かります。
メディアの寵児だった頃は政治の世界でも力を発揮できると考えたかもしれませんが、環境問題に重きを置かない現大統領の前では何もできず、敢えなく撤退となりました。