旧モンサント社の除草剤 Glyphosate
8月10日 、発がん性を疑われる除草剤ラウンドアップを開発したアメリカ屈指のバイオ化学メーカーの旧モンサント社 (Monsanto) に289万ドルの支払いを命じる歴史的判決が下りました。カリフォルニアの法廷は、この除草剤を危険と知らずに使用し、ガン末期患者となった46歳の庭師の訴えを認めたのです。
問題となっている除草剤の有効成分グリホサート(glyphosate) は、長年、物議を醸してきました。発ガン物質の疑いがあるだけでなく、内分泌攪乱物質であり、環境に悪影響を与え、ミツバチ減少原因のひとつにもなっていると考えられているからです。にもかかわらず、2000年には特許期限が切れてジェネリックとなり、世界で最も多く使われている除草剤になりました。
今回の判決の決め手となったのは「モンサント文書」と呼ばれる2017年春に公表された内部書類の存在です。メール、ファックス、社内レポート、公的機関、科学誌編集者、顧問とのやりとりから、会社が早い時期からグリホサートの危険性に気付いていた事が示されました。これまで様々な公的機関は「危険性がはっきり証明されていない」という理由で、グリホサートの使用に目をつぶってきたわけです。
欧州連合内では2017年に、新たに向こう5年間の使用が認可されましたが、これはドイツが賛成票を入れたのが大きかったと言われています。ドイツの環境長官が再認可に反対したにもかかわらず、こういう結果になったのはモンサント社を買収・吸収したのがバイエル (Bayer) だったのと無関係ではないのでしょう。