ステファーヌ・オードラン逝去 Disparition de Stéphane Audran
ステファーヌ・オードランが一昨日亡くなりました。享年85歳でした。私の若い頃はヌーヴェル・ヴァーグ全盛時代、お洒落で気怠く、起承転結を無視したようなフランス映画に惹かれたものでした。その中でも強烈な個性でフランス女優を代表していたのがオードラン。射抜くような薄い緑の目と赤毛の彼女は、そこにいるだけで頽廃的な香りを醸していました。そう、彼女は最高にステキでした!
彼女を最初に見たのはブニュエル Buñuel の「ブルジョワジーの秘かな愉しみ Le charme discret de la bourgeoisie 」で、オードランの存在感に圧倒されたのを思い出します。この映画は1973年にアカデミー賞外国映画賞を取りました。1988年にもオードランが主演したデンマーク映画「バベットの晩餐会 Le festin de Babette」が同じ賞を取っています。2回もアカデミー賞受賞映画に主演したフランス女優は彼女だけではないでしょうか。
しかし、彼女を有名にしたのは何と言ってもヌーヴェル・ヴァーグの巨匠のひとりクロード・シャブロール Claude Chabrol です。彼の傑作「肉屋 Le boucher」はオードランがいなかったら、ただの B 級映画に終わっていたかもしれません。シャブロールは8年前に他界しました。オードランも亡くなった今、ヌーヴェル・ヴァーグが過去のものになりつつあります。一抹の寂しさを感ぜずにはいられません。